弊社の拠点・長野県諏訪市には天下の奇祭「御柱祭」で知られる諏訪大社があります。農耕と狩猟・生命の根源を司り、自然そのものがご神体という神様で、殺生・肉食が禁じられている頃でも捕獲や肉食が許された「鹿食免(かじきめん)」の授与や、75頭の鹿の頭を献じる神事「御頭際(おんとうさい)」など、ジビエとの関わりが深い神社のお膝下で業務を行っております。
全国には諏訪神社が1万社あるそうで、訪問地の諏訪神社の数を調べるのが私の楽しみのひとつとなっていますが、太古の昔から人は肉を食べ、その命とともに生きてきました。先の「鹿食免」は「宿業の尽きた生物は、人間の身に入ることで成仏することができる」とされていますが、獲った命を大切にしたいというのは、全国のハンターや食肉処理施設共通の願いだと思います。
全国での野生鳥獣の個体数の増加については、捕獲圧の低下、気候変動などさまざまな原因が言われていますが、継続的に捕獲を続けなければならない状況であり、獲った命を生かすことのひとつとして、肉としての流通や骨や皮革の活用が求められています。
ジビエはその栄養素の機能性にも注目が集まり、外食産業でも取り扱いが広がっていますが、ハンターのみならず不特定多数の一般消費者へ流通させるには衛生的で安全な食品であることが不可欠です。
2018年に農林水産省により制定された「国産ジビエ認証制度」は、食品衛生法や厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に沿って衛生的にイノシシ・シカの解体処理を行っている施設を認証する制度で、弊社は前身の日本ジビエ振興協会として制度構築に携わり、現在はその認証機関として審査業務を行っております。
長くハンターを中心とした食文化であったジビエを一般流通に乗せるにはさまざまな課題が生じますが、ジビエの流通に関係するハンター、食肉処理施設、流通・加工事業者、学識経験者や関係省庁の皆様との連携により、課題解決を試みながら、古から続く人が野生の肉を食べる行為が持続し、且つ生活の楽しみや活力や自然との調和に繋がっていくことを目指し活動してまいります。活動には多くの皆様のお知恵やお力をいただけますとより心強く、さまざまな視点により現場の課題解決に繋がることと思います。
ぜひお力添えいただけますよう、よろしくお願いいたします。
⇒「安全なジビエの普及基金」募集要項一般社団法人国産ジビエ認証機構 代表理事 鮎澤 廉(あゆざわ れん)