2025年09月17日
2025年9月1日、紀伊國屋書店の3階「新宿本店アカデミック・ラウンジ」で、ジビエイベント「実は身近で美味しい、ジビエの魅力に迫る会」を開催、20名を超えるみなさまにご参加いただきました。
このイベントは、紀伊國屋ビル地下1階にある『editor’s fav るるぶキッチン』とのタイアップが縁で実現したもの。るるぶキッチンは、旅行ガイド『るるぶ』の取り組みのひとつとして、地域のさまざまな魅力ある食材の発信に努めており、今回は9月1日(月)~30日(火)の1カ月間、ランチ特集フェア「ジビエを食べよう」を実施。「いのしし肉と蒸し野菜のヘルシーランチ」(税込み1580円)を販売しています。
普段は本に関連したイベントを開催するアカデミック・ラウンジとしては、ジビエだけをテーマに開催するのは、るるぶのご縁があったとはいえ非常に珍しいこと。新宿本店長の星真一さんは、「書店業は、紙に印刷した本を売るという、いわばSDGsからはもっとも遠い業界のひとつ」と話し、エコロジーや持続可能性などに近いジビエがテーマになることには意義があるとしています。
イベントは2部構成。18時30分から1時間、ジビエについての講義を行い、その後、鹿革を使ったワークショップで、コインケースを作っていただきました。
講師は当機構事務局の林、代表の鮎澤に加え、皮革利用についてはA.I.C(兵庫県たつの市)の辻清さんにお務めいただきました。
最初の講義で林は、日本における食肉の歴史、現代の農林業等の鳥獣被害状況、ジビエ利活用の現状などを解説。続けて鮎澤からは狩猟の実情や制度について、狩猟免許を取得した経験を交えて解説したほか、Instagramでも掲載している「1日1ジビエ」の料理を紹介し、ジビエの食べ方、調理の仕方とともに、その面白さ、美味しさを語りました。
「ジビエの魅力とは“一期一会”。品種を揃え、去勢して成長もコントロールして、餌も統一している家畜はどれを食べても均一の味で、そこに価値がありますが、ジビエは100頭いれば100通りの美味しさがあります。季節の違いもあるし、捕獲した猟師さんによっても味が変わる。だから、毎日食べていても飽きることがないんです」(鮎澤)
「1日1ジビエ」を始めて1年4カ月になり、「髪が伸びるのが早くなり、爪が丈夫になった」ことを実感しているといったエピソードも語りました。
A.I.Cの辻さんは、同社の鹿革、イノシシ革の事業を紹介。姫路市、たつの市だけで全国の牛革生産の7割を占めているように、同社も牛革中心でしたが、10年前に鳥獣被害の現状を知ったことからジビエの皮革1本に集中。当初は原料となる鹿、イノシシの皮を集めるのにも苦労したそうですが、昨年は6000頭、今年は1万頭の革を生産するにまで至っています。A.I.Cが生産するジビエの皮革はアパレル業界でも知られるようになり、取り扱うブランドも増加。今年6月にはブランド「タブレット」の製品に採用され、パリコレのランウェイにも登場したそうです。
「鹿・イノシシの皮革は、あくまでも副産物。主産物である肉=ジビエが普及、流通しなければ革も普及しません。何かを選ぶことが、その産業を支えることに繋がります。あなたの選択が、日本の自然、ジビエの産業を支え守ることに繋がる第一歩になります。今日はぜひ、その第一歩として、ワークショップで鹿革のアイテムを作り、持ち帰っていただければと思います」
ワークショップは、A.I.Cの鹿革コインケースを作り、絵を描くというもの。お気に入りのキャラクターや模様を描く方もいれば、革の経年変化を見て「無地で使って、渋い色になってほしい」と、絵を描かずに持ち帰った方もいました。
参加した方のひとりは、
「普段、肉がどこから来ているのか、どういう流通をしているか気にしていなかったので、ジビエがどこから、どうやって来ているかを知ることができたのが良かった。また、ジビエといえば、猟師が食べているようなワイルドなイメージと高級料理のイメージしかなかったが、もっと身近な食べ物だということがわかった」
と感想を話しています。また、「この時間にこんな美味しそうな料理の写真を出すなんてはっきり言って飯テロ。なんでもいいから一口食べさせてもらえればうれしかった」と、次回以降への期待を語りました。
また、別の参加者はアカデミック・ラウンジによく参加しているとのことでしたが、「今までのアカデミック・ラウンジに負けないくらい、ものすごく勉強になった」と話しています。
「鳥獣被害のこと、ジビエの流通のこと、施設のことなど知らないことばかり。今までで一番勉強になったと言えるかも。ジビエのイメージも変わったので、買えるところを探したい」
ラウンジがオープンスペースのために、ご参加いただいた方以外にも、足を止め、ジビエの説明に聞き入ってくれた方々もいらっしゃいました。今回のイベントは、新宿の一等地で一般消費者向けにジビエを訴求することができ、非常に意義深いものとなったと言えるでしょう。今後も消費者向けのジビエ普及に力を入れて参ります。
2025年9月1日~30日 『editor’s fav るるぶキッチン』 いのしし肉と蒸し野菜のヘルシーランチ 1,580 円(税込) ご飯・味噌汁・漬物付き |